- 原風景
- 内容についてだけ言及します。
去年映画館で見て、今年DVDでもう一度みて、レビューを書きに来ました。
インターネットがハッカーによって濫用されるとか、
家族のありがたさとか、
ありふれたテーマです。
ありふれたテーマなのに、ありふれたテーマなのに、
いつのまにか惹き込まれて、泣けて泣けて、仕方がないのです。
演出が良いのか、リズムが良いのか、映像が訴えてくるものがあります。
日本人の原風景だと思います。
最高です。 - 遠き懐かしき思い出
- 実は私の田舎も長野です。しかし、諸事情により今、そこにはかってあった田舎はありません。この映画は、あの田舎を思い出させて下さいました。それだけでもこの映画に悪い評価を与えることはできません。確かに長野県人は大皿に盛って料理を出すのです。その反動か、私の父は、大皿料理の否定を母に強制しましたが、私の代では大皿が当たり前なのは笑ってしまいます。
- 0と1で構成されたビットの世界の危うさに対する警鐘も感じられる
- 映画は2009年8月1日リリース。この日はこの作品に登場する陣内家の16代目当主陣内栄の89歳の誕生日にあたっている。このあたりもストーリーの伏線になっていて面白い。
観る前に予想していたよりもずっと素晴らしかった。色んな意味で考えさせられた。まず『OZ』という発想がリアリティがあり、なおかつそのデザインが非常に視覚的で良くできていると思った。現代のIDとパスワードでビット化された世界は近々こんなカタチに実際成っていくだろう。0と1で構成されたビットの世界の危うさに対する警鐘も感じられる。一方で大家族の結びつきというものを示していて二つの世界の対比がどちらの世界も際立たせている。すばらしい表現力だ。
感動的なシーンが随所にあるが、特に感動したシーンが2つ。ひとつは陣内家の16代目当主陣内栄が過去の人脈の人々一人一人にとつとつと説得するシーン。決してあきらめない、そして人間というものの本質を信じている姿勢が感動的で唸った。もう一つは不足したアカウントに1つが加えられたシーン。こちらも唸った。
おもしろいのはここでのコイコイがゲーム・アプリになってiPhone等で遊べるようになっていたりすること。そういった広がりも面白い。
何しろ日本のアニメのレベルというのは大変なものだと思う。これをきちんと文化として伝え残すことは今の日本文化の最重要テーマだとぼくは思う。 - 遅れてきたセカイ系的物語
- 傑作時をかける少女 [Blu-ray]の細田守作品です。
各人物の描き方は見事(いわゆるキャラが立っているというやつですね)。社会に深くコミットしている最先端?のネット社会と長野上田の田舎の風景、今はほとんど見られなくなった「ゴッドマザー」を中心とする大家族の良さをうまくかみ合わせています。ネットの進化にくらべてリアル社会の設定が現状とほとんど変わっていないことや、家族がほとんど公務員というのも何気に面白かった。CGもすばらしい。
ただ、SF設定が古い。ネタばれになるので詳細は書きませんが、セカイ系的ストーリーはもう使い倒されていると思います。ネットを擬似的な戦場としアバターに戦わせる、数学では抜群の才能はあるがその他では普通の青年が世界を救う(いわゆるセカイ系では少女が救うのですが、この作品では「騎士道精神」が発揮され、男性が女性が救う物語にさらに先祖がえりしています)。見慣れた「物語」で安心して鑑賞できるのですが、この点では退屈でした。
次回作に期待します。 - 考えず軽く流し見なすれば楽しめるかもしれない
- 大家族を中心に据えて、家族という『繋がり』を描くなら、それを活かすなら、最初に攻撃破壊されるべきは『世界の繋がり』であるべきだった。
つまり、光通信や電話回線という、現代において簡単に他人と繋がれるそれらが徹底的に遮断されてこそ、大家族という核家族にはない数の利や、長生きしたババーの人脈も知識も活きてくるはずだし大家族を劇中に出した意味が生じるはずだ。
そうであったなら、世界中に大家族はいるわけで、彼らだって指をくわえてるだけではなかろうし、たったひとつの小さな『大家族』が全解決してしまうストーリーではなく、もっと大きな大きな『大家族』での大円団へも繋げられたんではなかろうか?
そしてアナログな情報交換方法を駆使するキャラクターを複数用意すべきだったと思う。
アマチュア無線(電信)が趣味というマニアックな眼鏡の無口な子なんかを出して『懐中電灯や車のライトでのモールス信号によるそれなりに中長距離の通信』を思い付かせたりもありだ。
ムスッとした顔の爺なんかに、戦時中に友人と使っていた『色つき狼煙での連絡や情報のやりとり』なんかを思い出させてやらせても良かった。
伝書鳩、走破、etc…
ならば、そういうアナログならではのまどろっこしさと主役たちを格闘させながら、キャラクターに我慢を覚えさせたり成長を促せたりもできたはずだ。
なによりデジタルの反乱に立ち向かうなら、そこは大家族、メインは愛と勇気と頭数とアナログ戦法じゃなきゃ。
『電話回線は何故か生きてます。電話一本で連絡とれてしまいます。』では白けてしまう。ハラハラしない。
現代的な通信手段をすべて絶たれた先にある、なお切れない絆、なお繋がることを諦めない人間の切ない強さを描いてくれなきゃ意味がない。
そういった中でデジタルへの反撃の糸口をつかんでいって欲しかった。デジタルの速度にアナログが勝つ脚本は難しいだろうけども。
もひとつだけ気になるのはキャラクターが薄いこと。特にビジュアル。
小綺麗すぎてインパクトがない。老人くらい皺皺くちゃくちゃシミだらけとかでもいいのに。
でも、背景はすごかった。誰の仕事かしらないけど素晴らしかった。
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