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わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)
  • ¥ 987
  • カズオ イシグロ
  • 文庫
  • 早川書房
  • 2006-03

アヘン取り引きに絡んでいたイギリス人ビジネスマンの父親が上海の自宅から突然姿を消したとき、9歳のクリストファー・バンクスは友だちのアキラと探偵ごっこに夢中だった.「中国人街のうさぎ小屋のような路地で追いかけっこや殴り合い、撃ち合いをしたあと、詳細は違っていても決まって必ず、ジェスフィールド公園での壮大な儀式で探偵ごっこは締めくくられた.その儀式で僕たちは、一段高くなった特別ステージにひとりずつ上り…拍手喝采を送る群衆に向かって挨拶するのだった」 次いで母親までもが行方不明となったクリストファーは、イギリスへ送られることになる.

在庫あり。
ブッカー賞作家、カズオ・イシグロが綴る「追想」の冒険譚
英語圏で最高の権威を誇る文学賞「ブッカー賞」を『日の名残り』で’89年度に受賞した、現代英国文学界を代表するカズオ・イシグロの’00年発表の第5長編。

おもな舞台は不安定な中国情勢・国際情勢の中での上海の外国人特別区“租界”。‘わたし’ ことクリストファー・バンクスは10才の時、父母が共に謎の失踪を遂げて孤児になった。長じて父母を捜すために探偵となり、数々の難事件に関って名を成し、社交界にデビューする。

本書は、全部で7つの章から成り立っていて、それぞれ1930年、1931年、1937年、1958年と、異なる時点から過去を振り返る‘わたし’の「追想」小説である。少年時代の父母の思い出、隣家の日本人少年アキラとのいたずらなどの遊びの思い出、名を成してからのサラ・ヘミングスとの淡い恋、養女ジェニファーとの関係などが抒情的・自省的に綴られてゆくが、常に‘わたし’の心にあったのは父母を探し出し、救出することだった。第6章の1937年時の追想は日本軍と中国共産軍、蒋介石の国民軍が入り乱れる上海の戦闘区域で、負傷した日本軍兵士であるアキラと再会して父母を救出するべく執念の探索行が描かれている。このくだりは圧巻であり、リーダビリティーにあふれている。そしてついに明かされる衝撃の真相と、それを知ったのちの‘わたし’のなんとも名状しがたい心の動き。

本書を探偵小説と見るむきもあるが、私は‘わたし’の記憶と過去をめぐる切ない青春小説であり、「追想」の冒険譚であるように思った。
ところでタイトルの『わたしたちが孤児だったころ』であるが、なぜ「わたしが・・」ではなく、「わたしたちが・・」なのだろうか。ここに、読者を物語に巻き込むイシグロの意図がうかがえるような気がする。
ミステリーという垣根を越えて。ともかく前向きな生き方が素敵!
わたしたちが孤児だったころ (ハヤカワ・ノヴェルズ)
1900年代の初め、
上海で両親と共に豊かに暮らしていたイギリス人の少年クリストファーは、
立て続けに両親が失踪するという奇妙な事件に遭遇する。

以来、イギリスに帰国し、
名門大学を出て、順調に探偵となり、
社交界にデビューする一方で
養女を養うほど
知性と富と慈悲にあふれた人柄を備え、
人生を歩み始めている。
(欠点は女性が苦手なところ。)

そんな彼が自分の不確かな記憶と探偵としての資質を武器に
両親の失踪の秘密を探り、
彼らを捜し出そうと再び(日中戦争が勃発しようとしている)上海を訪れる。

荒削りだけれど、自分の成し遂げようとする事柄に、
後先考えずに真正面から向かっていく主人公が、
なんだかほほえましく
ミステリーという垣根を越えて、
保護者の気持ちで楽しく文字を追いました。

さらにエンディングの
探し出した母と母の環境に理解を示し、
養女の提案を曖昧に享受していく箇所は物語の終点にふさわしく穏やかで素敵。


Posh but distorted life in foreigners' settlement in pre-WWII Shanghai
This book reminded me of the feeling that I felt when I first knew Britain's foreign policy toward China during the early 20th century. It was too pitiful for me to read without anger emotion that Britons spent a luxurious life in their settlement by using money earned by selling opium, while local Chinese were getting to be suffered economically and physically by buying and smoking opium. In this story, some conscientious British people bravely stood out against the opium trade - I hope this was based on the fact - but their voices were muffled in overwhelming mammonism. It was interesting that communism, which was believed to be inferior to capitalism, was able to succeed in eradicating the opium addict only in a handful of years just after the WWII. This novel skillfully teaches us that capitalism also has its dark side that is moral ignorance.
切ない物語だった
1937〜1958年、戦争をはさんだ時代の、上海を舞台にしたミステリー。
「日の名残り」の作者らしい、なんともいえない寂寞とした雰囲気の小説でした。

主人公のChristopherは上海租界育ちの英国人。幼いころ両親が失踪したため、上海から英国に戻され、叔母の元で育ちます。長じて著名な私立探偵となり、社交界でもてはやされた彼は、やがて両親を探すべく上海に戻りますが、そこで待ち受けた驚愕の事実とは・・・?

いわゆる英国と中国の阿片問題に絡んだ物語です。
後半、主人公が上海に戻ってからの展開はかなり強引で、読み進めているうちは「こんなのあり?」って思っていたのですが、読み終わってみると、主人公の一人称で書かれたこの話が、結局どこまでが真実だったのか?と考えてしまいました。
作者のトリックにひっかかったってことでしょう。

作者は日本生まれの英国人ですが、日本人が書いた英語の小説となめてかかってはいけません。読みにくいと言うほどではないですが、ブリティッシュイングリッシュです。
洋書読みの初、中級者が辞書なしですらすら読めるレベルではないです。

それにしても何とも切ない話です。
主人公は結局、両親も恋した女性も、親友も、誰一人として救うことはできないのですが、それでも養女Jennferの存在がなんとなく明るい未来を予感させてくれます。
最後は泣けました。
ミステリアス
日本生まれのイギリス文学者カズオ・イシグロの作品。1930年から1940年代。ロンドンと上海を舞台にしている。イギリスの植民地支配時代の空気を出しています。途中までは、抑制のきいた深い物語進行ですが、途中から急転直下の話の進行に頭がついていけなくなります。ミステリーの謎とき張りの進行です。途中までは、カズオ・イシグロの「日の名残り」のような作品らしいのですが、後半はついていけませんでした。私は作品としては、「日の名残り」の方がおさまり良く、ジーンと胸にしみて、好きでした。好きな作家の作品の一つとして読みました。随所にその良さを見つけることはできました。カズオ・イシグロには、今後も期待しています。

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